協議離婚

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協議離婚

離婚を考えたとき、まずは協議離婚を検討するのが一般的です。

協議離婚には簡易かつ迅速に離婚を成立させられるというメリットがありますが、進め方次第で納得のいかない解決となる可能性もある点に注意が必要です。

本ページでは、協議離婚の内容や特徴、進め方について解説いたします。

1 協議離婚とは

1.1 日本における離婚の状況

日本では、離婚の方法として協議離婚、調停離婚、審判離婚、和解離婚、認諾離婚、裁判離婚の6種類がありますが、約9割前後が協議離婚となっている状況です。

※2020年の離婚件数は19万3253件ですが、そのうち協議離婚が17万603件(88.2%)、調停離婚が1万6314件(8.4%)、審判離婚が2229件(1.1%)、和解離婚が2545件(1.3%)、認諾離婚が2件(0.001%)、裁判離婚が1740件(0.9%)となっています(厚生労働省「令和4年度離婚に関する統計の概況」)。

1.2 協議離婚とは何か

協議離婚は、民法第763条により認められている離婚の方法で、①夫婦間で離婚意思の合致がある状況で、②離婚届を提出する(民法第764条、第739条)という簡易な方式により離婚を認めるものです。

裁判所等が関与せず当事者のみで離婚を成立させられる協議離婚を認めている国は日本を含め数か国しか存在しないのですが、その他の調停離婚等とは異なり裁判所の関与が不要で簡単に離婚を成立させられるため日本では最も多い離婚方法となっています。

2 協議離婚の特徴

2.1 スピード解決できる可能性がある

協議離婚では、その他の5種類の離婚とは異なり裁判所の関与が不要で夫婦が離婚届に署名した上で役所へ提出すれば離婚が成立するため、スピーディに離婚できる可能性があります。

協議離婚以外の方法で離婚する場合にはまずは離婚調停の申立てを行う必要がありますが、離婚調停は申し立ててから初回期日までに期間が空く上、約1か月~2か月に1回程度の頻度で話合いなどを行っていくことになるため、スムーズにいったとしても解決までに数か月程度の期間がかかることが多い状況です。

そのため、配偶者と条件の合意ができる場合にはスピード解決できる可能性があるというのが協議離婚の長所といえます。

2.2 コストを抑えることが可能

上記のとおり、協議離婚は役所への離婚届の提出という簡易な方式により成立します。

そのため、調停離婚や裁判離婚の場合に必要となる事務的な負担や離婚成立までの期間を抑えることができ、ひいては離婚するための経済的なコストを低く抑えることが可能です。

2.3 配偶者と合意できない場合には離婚が成立しない

協議離婚を行うためには配偶者との間で離婚の合意をすることが必要ですので、そもそも配偶者との間で話合いができないという場合には協議離婚を選択することが困難なことがあります。

また、配偶者との話合いができる場合でも、配偶者との間で離婚の条件(親権、養育費、財産分与、慰謝料など)について合意できないという場合にはやはり離婚の合意をすることができませんので、協議離婚により離婚することが困難といえます。

協議離婚の代理交渉を弁護士に任せる場合

当事者間で話合いができないという場合でも、弁護士が間に入ることで話合いを行うことができるようになり、協議離婚によるスピード解決ができるという場合もあります。
また、当事者間で離婚条件の合意ができない場合に関しても、弁護士が介入して戦略的に交渉を進めることで離婚条件の合意ができるようになる場合も少なくありません。

そのため、配偶者との間で離婚の話合いができない場合や話合いを行ったものの合意の見通しが立たないという場合には、まずは弁護士へのご相談をお勧めします。

2.4 当事者のみで協議離婚を成立させた場合、不合理な解決となる場合がある

弁護士が協議離婚の代理交渉を行っている場合や裁判離婚の場合などには弁護士や裁判官が離婚条件に関与するため、特段の事情がない限り、気づかぬうちに自身に不合理な内容で解決してしまうということはありません。

一方、当事者のみで協議離婚を成立させた場合には、気づかないうちに不合理な内容で解決してしまっていることが少なくありません。

とくに、配偶者が高圧的に離婚条件を一方的に押し付けてきた場合や暴力的な配偶者との離婚を急ぐあまり離婚条件を十分に検討しなかったという場合には不合理な内容で解決しがちです。

3 協議離婚の進め方

協議離婚には解決までの時間的・経済的コストを抑えることができる可能性があるという強いメリットがあるため、離婚する場合にはまずは協議離婚によることを検討すべきです。

もっとも、協議離婚を目指す場合、「配偶者と合意できない場合には離婚が成立しない」、「当事者のみで協議離婚を成立させた場合、不合理な解決となる場合がある」という協議離婚のデメリットをあらかじめ念頭に置いておくことが不可欠です。

そして、配偶者と話合いができない場合や話合いは行っているものの合意の見通しが立たないという場合には、協議離婚により離婚しようとするむしろ時間が掛かったり経済的なデメリットが生じたりする可能性もあることから、弁護士を通じて協議離婚の代理交渉を行うか、離婚調停の申立て等を行うことを検討する必要があります。

また、配偶者との話し合った結果、合意できる見込みが立ったという場合でも、すぐに合意してしまうのではなく、合意する予定の離婚条件について弁護士によるリーガルチェックを受け、気づかないうちに不合理な内容で解決してしまったということがないようにすべきです。