受給事由消滅届の提出がないと児童手当は受給者変更されない?

その他の離婚問題に関するQ&A

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受給事由消滅届の提出がないと児童手当は受給者変更されない?

Question

夫との別居後、住民票を移した上で必要な資料を持参し、役所の窓口で児童手当の受給者変更手続を行おうとしました。
しかし、役所の担当者から、夫が児童手当の受給事由消滅届を提出しなければ児童手当の受給者変更はされないと説明されました。

このような場合、どう対応すればよいでしょうか。

Answer

夫婦が離婚を前提に別居した場合、「住民票の異動+離婚協議中であることを証明する資料」を提出することで児童手当の受給者変更手続が可能で、現在の受給者による受給事由消滅届の提出は必要ありません。

そこで、もしも役所の担当者から「夫が児童手当の受給事由消滅届を提出しなければ児童手当の受給者変更はされない。」との説明を受けた場合には、離婚を前提とする別居の場合には「住民票の異動+離婚協議中であることを証明する資料」で手続が可能であることの確認を求めた上、児童手当の受給者変更を行っておく必要があります。


児童手当の受給者変更手続について、より詳しくお知りになりたい方は以下をご覧ください。

1 児童手当の受給者変更手続

1.1 受給権者

児童手当は、父母の同居中には児童手当は父母のうち収入が高い方に支給されますが、父母が別居した後には子供と同居する父または母に支給されます。(児童手当法第4条第1項第1号、第3項、第4項)。

なお、単身赴任等を理由として別居しており、別居後も父母が生計を同じくしている場合には父母のうち収入が高い方に児童手当が支給されます(児童手当法第4条第4項)。

従前(平成23年9月まで)の取扱い

平成23年9月までは父母の別居後も父母のうち収入が高い方に子ども手当(現在の児童手当)が支給されていましたが、平成23年10月以降は子供と同居する父または母に支給されるようになりました(平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法第4条第3項、附則第1条)。

従前の取扱いとの相違点については厚生労働省のWebサイトをご参照ください。

1.2 必要な手続

離婚を前提とする別居後に児童手当の受給者を変更するためには、基本的には住民票を異動した上で、離婚協議中であることを証明する資料を役所の窓口に提出して児童手当の認定請求を行う必要があります。

なお、世帯分離すれば同居している場合でも別居しているものとして扱われます。
こども家庭庁のWebサイトもご参照ください。

1.3 離婚協議中であることを証明する資料とは?

離婚協議中であることを証明する資料として、以下の資料などが考えられます。

離婚協議中であることを証明する資料

・協議離婚申入れ時の内容証明郵便の謄本
・調停期日呼出状の写し
・家庭裁判所作成の事件係属証明書
・調停不成立調書


なお、当事務所にご依頼いただいた場合、作成の迅速性、プライバシー保護の観点から、弁護士が作成した「離婚協議中であることの証明書」をお渡しさせていただきます。

2 児童手当の受給事由消滅届の提出が必要な場合

児童手当の受給事由消滅届は、以下のような受給資格の消滅事由が生じた場合に提出が必要です。

・受給者が日本国内に住所を有しなくなった
・受給者が他の自治体に転出した
・受給者が子供と別居することになった
・受給者が公務員となった
・子供に児童福祉施設等への入所等の事情が生じた。

※その他の消滅事由については、こちらの書式をご確認ください。。

3 配偶者による受給事由消滅届の提出が必要と言われたときはどうする?

父母が離婚を前提として別居している場合、「住民票の異動+離婚協議中であることを証明する資料」により児童手当の受給者変更手続が可能であり、現在の受給者による受給事由消滅届の提出は必要ありません

しかし、役所の窓口で「現在の受給者から受給事由消滅届が提出されない限り、児童手当の受給者は変更されない。」と言われることが稀にあります。

役所の担当者がこのような説明をする理由として、担当者が上記「2 児童手当の受給事由消滅届の提出が必要?」の場合と混同している可能性などが考えられるところですが、役所の対応として誤りですので、受給事由消滅届の提出の有無にかかわらず「住民票の異動+離婚協議中であることを証明する資料」により手続可能であることの確認を求めた上で児童手当の受給者変更手続を行っておく必要があります。


※本記事では「受給事由消滅届の提出がないと児童手当は受給者変更されない?」についてご紹介いたしました。
しかし、実際の事案では個別具体的な事情により法的判断や取るべき対応が異なることがあります。

そこで、別居後の児童手当についてお悩みの方は、本記事の内容だけで判断せず弁護士の法律相談をご利用いただくことをお勧めします。