状況

Lさんは、妻の様子に異変を感じたことから妻の行動を調査したところ、妻がパート先の上司と不倫していることを知りました。

妻の不倫にショックを受けたLさんは、精神的不調を訴え病院に通院するようになり、最終的には妻や子供との別居生活を強いられることになりました。

Lさんは、相手の男性に対する強い憤りを感じ、相手の男性へ自分で慰謝料を請求してみたものの、すぐに相手の男性に弁護士が就き交渉が難航したことから、当事務所の弁護士に慰謝料請求のご依頼をされました。

弁護士の活動

弁護士は、相手の男性の弁護士へ連絡し、あらためて慰謝料請求を行いました。

これに対し、相手の弁護士は、慰謝料として100万円以下の金額を長期にわたる分割払いという条件でなければ支払うことができない旨の回答をしてきました。

そこで、当事務所の弁護士は、Lさん夫妻の状況や相手の男性の不倫の悪質性を摘示した上で、裁判になった場合には慰謝料額が少なくとも100万円台後半の金額になる可能性が高いことを繰り返し説明しました。

相手の弁護士は、当初、相手の男性にお金がなく100万円を超える金額を支払うことが困難である旨の主張を続けていましたが、最終的には相手の男性がお金を借り入れた上で180万円一括払するとの内容で和解が成立しました。

ポイント

１　裁判になった場合の見通し

もしも慰謝料請求の交渉が決裂した場合、任意に慰謝料を支払わない相手方から慰謝料を獲得するためには裁判を起こす必要があることから、慰謝料を請求する際には裁判になった場合の見通しを適切に持っておくことが必要不可欠です。

本件では、裁判になった場合には慰謝料額が少なくとも100万円台の後半になる可能性が高い事案でした。

そこで、相手方からの100万円以下の慰謝料しか支払わない旨の回答に対し、裁判になった場合の見通しを繰り返し説明し、相手方を納得させることができたことで慰謝料180万円を獲得することができました。

２　相手の資力（経済状況）の見極め

慰謝料請求を行った場合に、相手方から「お金がないため慰謝料を支払うのが難しい。」との回答が返ってくることは少なくありません。

実際、裁判で慰謝料請求が認められたとしても相手方に財産がない場合には、相手方の給与を差し押さえるなどの方法により時間をかけて慰謝料全額の回収を目指すことになるため、一括払での解決を希望する場合は金額を調整することがあります。

また、相手方がその他に借金があった等の事情により破産した場合には、原則として相手方の慰謝料の支払義務は無くなってしまいます。

そのため、実際に相手方から慰謝料を獲得するためには、裁判になった場合の見通しだけではなく、相手方の資力（経済状況）に照らし、相手方が現実にいくらであれば支払うことが可能かを検討しておくことが重要です。

具体的には、慰謝料支払の原資としては、相手方の給与等の収入、預貯金等の資産、金融機関等からの借入金、親などの親族からの援助金等が考えられるところ、上記各事情について可能な範囲で調査及び検討した上で、相手方が支払可能な金額を推測しておくべきです。

本件では、相手の男性の職業及び地位から推測した年収が800万円を超えていたことから支払可能な慰謝料額が100万円以下ということは考え難いとの判断を前提に、粘り強く交渉を進め、その結果、180万円を一括で獲得することができました。


※掲載中の解決事例は、当事務所で御依頼をお受けした事例及び当事務所に所属する弁護士が過去に取り扱った事例となります。